2020年6月16日付

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何が差別意識を生み出し、増長させるのだろう。ある集団や個人を自分より下に位置付けることで、優越感を満たし、あるいは劣等感を解消しようとするのだろうか。異質なものへの畏怖からくるのだろうか▼若い頃に香港、韓国を訪れた際、行き交う人々は自分と見た目に変わりなく、街の風景は日本と大きく異なるのだが、一種の安心感を抱いた。半面で「こちらは日本人」と、見下すような感覚にとらわれたことを記憶する▼初めてヨーロッパを旅した時は違った。空港に降り立った瞬間から雰囲気にのまれてしまったのだ。人々は男性も女性もかっこいい。何しろ、様になっている。矮小な自分とは正反対だと、少なからず卑屈にならざるを得なかった▼米国で黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官の暴行で死亡したことをきっかけに、抗議デモが湧き起こった。全米にとどまらず、世界中に拡大したことは、差別は至る所に巣くい、根深いことを改めて知らしめた▼1日付の小欄では、SNSで誹謗中傷されていた女子プロレスラーの名をあえて書かなかった。今欄では思い直し、ジョージ・フロイドさんの名を記したい。個々人を尊重するのではなく、単なる特徴や傾向、イメージなどでひとくくりにすることが差別を生む下地となるのではないか。ジョージさんに対し、黒人男性の一人としてではなく、ジョージさんとして接するために。

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