2020年6月18日付

LINEで送る
Pocket

呆然とした様子で腰を下ろす男性。力なく見つめる視線の先には、小さな”何か”が二つ。ツイッターで流れてきた写真に添えられた文章の中に「彼の5歳の娘の切断された手足」の文字を見つけ、目を疑った▼中央アフリカ・コンゴで撮影されたという。19世紀中ごろだろうか。天然ゴムの採取量が足りないとの理由で行われた、植民地支配していたベルギー王国による懲罰との説明。人の狂気に言葉を失う▼英語、仏語、葡語―。アフリカの国々で使われる公用語は、欧州の国に支配された歴史を物語る。広大な地図に妙に真っすぐ引かれた国境も、欧州人が一方的に定めた境目だ。彼らの目に現地の人々はどう映っていたのか。米国の黒人男性死亡事件は、根深い人の負の側面を見せつける▼社会心理学によると、人は味方と敵を分け、自身を守るために敵を見下して自己肯定感を高めるという。差別や偏見の根っこは、怖さや弱さにあるということか。生活する環境下での習慣や価値観から生まれる「無意識の偏見」も根が深い▼アフリカや米国などの外国に求めずとも、身の回りで事例はいくつも思いつく。新型コロナウイルスでも、感染者やその家族らに無用な矛先を向けてはいないか。インターネット上の誹謗や中傷も話題になった。差別はすべての人に関わる問題。偏見や差別の意識に支配されやすい弱さを自覚し、ゆとりと想像力を保ちたい。

おすすめ情報

PAGE TOP