2020年6月23日付

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新型コロナウイルス感染症がゴリラなどの類人猿にうつる恐れがあるとして、生息地となるアフリカの国立公園では人になれさせた野生猿を見るツアーを休んでいると海外メディアが報じた▼東アフリカのルワンダで起きた民族対立による内戦で、隣国の旧ザイール(現コンゴ)へ逃れた難民を1995年2月に取材し始めて10日間が過ぎた頃、雇っていた現地人通訳から「ヴィルンガ国立公園へ野生のマウンテンゴリラを見に行こう」と誘われた▼案内役と山道を登ると、草むらで頬づえを突くオスゴリラ、その横には3週間前に生まれた子を含む複数の母子ゴリラが現れた。一夫多妻だ。群れとの距離は5メートルで、ゴリラたちは人を気にしないそぶりだったが、無邪気な子ゴリラがこちらに歩み寄ろうとした時、それまで知らんぷりだったオスが私たちをにらんだ▼霊長類学者の山極寿一さんによると、ゴリラは一度つがいになると半永久的に関係を保ち、雌雄とも積極的に子育てをする。寿命は35~50年。ヒトの体を構成する遺伝子は「ゴリラと1%余りしか違わない」という▼当時の日記には「ゴリラの家族は平和だ。近くで何十万人の難民が生活しているとは思えない」とある。ルワンダでは人が大量虐殺され、片やゴリラは種の継承に精を出していた。「人は万物の霊長か」と考えた記憶がある。あのゴリラたちがコロナ禍とは無縁であるのを願う。

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