伊那も虐待増加傾向 行き詰まる前に声上げて

LINEで送る
Pocket

伊那市で児童虐待抑止に取り組むNPO法人フリーキッズ・ヴィレッジの「要保護児童のファミリーサポート活動報告会」が22日、市保健センターであった。同法人や市、虐待の恐れがある児童を一時的に預かる民間の協力者ら13人が出席。市内で増加傾向にある児童虐待の内容を聞き、今後の活動の参考にした。

同法人は昨年度、県地域発元気づくり支援金を活用し、虐待に苦しむ親と子を支援する活動に着手。今年度からは状況を重く見た伊那市が県内他市に先がけて、国と連動する「在宅における養育支援事業」をスタートし、同法人は業務委託で児童の一時預かり事業など、虐待を回避する活動を行っている。

この日の報告会では、児童虐待の現状を市教育委員会の子ども相談員が説明した。在籍する5人の相談員がかかわった昨年度の虐待事案は延べ895件。このうち、近所の人や警察などからの通報で48時間以内に児童の安否確認を必要とする「虐待通告」は64件、延べ122人だった。実際に「殴る、蹴る」の身体的虐待が30件、暴言を浴びせる心理的な虐待が89件で、中には身体と心理の双方に及ぶ虐待も相当数に及んだ。

相談員は「暴言を浴びせる心理的な虐待は、心に深い傷を負う割合が高い」と指摘。親の暴言、暴力のほか、最近は「母親の精神疾患による育児放棄も増える傾向にある」とした。新型コロナウイルス感染対策の休校や在宅ワークによるストレスから虐待に至るケースも多いという。

一方、虐待に関係する児童を一時的に預かる協力家庭は15戸(昨年度)で、協力者の体験談発表では「最初は心を開かなかった子どもが次第に私たち家族に慣れ、わが家に来るたび楽しそうな表情を浮かべる」などと話した。

自らも児童を受け入れる同法人の宇津孝子理事長は「児童虐待は、例えば『子どもを大事に育てたい』と思いながらも経済力、家事力、知的力などの不足で子育て能力に欠け、実際は保護者自身が情けない思いをしている」とし、「行き詰まる前に『私の子育てを助けてほしい』と声を上げてほしい」と呼び掛けた。

児童虐待に関する相談は伊那市子ども相談室(電話0265・72・0999)、児童受け入れの相談はNPO法人フリーキッズ・ヴィレッジ(電話090・2212・3484)へ。

おすすめ情報

PAGE TOP