民俗学者・向山雅重の音声資料公開

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伊那市の美篶小学校資料館で見つかった向山雅重の音声を収録したオープンリールのテープ

今年で没後30年となる宮田村出身の民俗学者、向山雅重(まさしげ)(1904~90年)の音声資料が6月30日、伊那市の美篶小学校資料館で公開された。地元住民でつくる同館運営委員会が、収蔵品の古い生活用具や農具について解説する向山の音声録音をデジタル化して披露。関係者らが集まり、向山の業績をたどるとともに、人柄をしのんだ。

向山は、上伊那地方の小中学校で教壇に立つ傍ら、民俗研究を志し、伊那谷を中心に県内各地で農作業や祭りなどを調査し、野帳や写真に残した。民俗学者の柳田国男、地理学者の三沢勝衛から学び、「山村小記」「信濃民俗記」などの著書がある。70年には柳田国男賞を受賞した。

同委員会によると、音声は昭和40年代に収録されたとみられる。地域住民らを対象にした講義で、1980年の資料館開設に向けて集められた民俗資料について、向山が説明する声だという。

同館では10年ほど前に、向山の声を収録したオープンリールのテープ2本が発見された。録音時間は57分と40分。時代の変遷とともに、カセットテープへの移し替えを経て、今年6月に同市伊那図書館の協力でCD化に当たった。同委員会は「貴重な音声資料」としている。

この日は、参加者が向山の音声による解説を聞きながら、展示品を見て回った。楽しげな声が流れ、松本地方に伝わる「押絵雛(びな)」、折り畳み式の升、馬用の藁沓(わらぐつ)などを分かりやすく説明。「母が革の鼻緒の下駄で足早に杖突街道を通った」といったエピソードもあった。

今回の公開は、没後30年の節目に合わせて向山の偉業に光を当てるとともに、宮田村の向山雅重民俗資料館や、記録写真約2万枚と野帳が保存されている同図書館の活用に結び付けようと企画した。

音声のデジタル化に携わった矢島信之さん(75)=同市美篶=は「この機会に地元の偉大な民俗学者に注目してもらい、図書館や民俗資料館を利用してほしい」と話す。記録媒体については「文字に起こして紙にも残したい」としている。

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