2020年8月7日付

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長い梅雨が明けて目に映ったのは、多彩な空の風景だ。まぶしい晴天や夕焼けもさることながら、無数の星が瞬く夜空の美しさに改めて見とれている。夏の夜は、心をいっとき空へと預けてみるのも趣深い▼県中部の地元では、日常的に夜空を一望できる。目が闇になじむと、頭上を埋め尽くすほどの星が見えてくる。天の川はもちろん、一等星の「夏の大三角」を探すことだって造作もない。幼少期は時間がたつのを忘れ、未知の空間に想像を膨らませた▼都市部で過ごした学生時代。街頭のネオンサインに照らされた夜空は何だか薄明るく、安物の天幕でも張ったかのようなグレー味を帯びていた。星の見えない毎日に、いかに恵まれた環境で育ったかを思い知らされた。募る郷愁に満天の星を重ね合わせたのは、信州人のことわりともいえようか▼県内初の宇宙飛行士・油井亀美也さんは、小学生の頃から思い描いた眺めを「ずっと想像してきた。その想像をはるかに超えて、地球は美しかった」と語った。遠く宇宙から、大志をつむいだ古里を見た感慨はいかばかりだったか。信州の夜空なくして、夢の萌芽はなかった▼コロナ禍で祭りや花火大会が中止となった今夏は、夜空の魅力を再発見する機会ととらえたい。近所の高台に登れば「3密」もなく、一層輝きを増した星が楽しめるはず。大人も子どもも、少しばかり夜更かしをしたっていいだろう。

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