19羽を放鳥 中アのライチョウ復活託す

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中央アルプスのライチョウ復活の願いを託して―。半世紀前に国特別天然記念物ライチョウが絶滅したとされる中アで繁殖集団の復活を目指す環境省は、北ア乗鞍岳から移送して中ア駒ケ岳で保護していた3家族19羽を7日までに放鳥した。同日の駒ケ岳は小雨に時折強い風が打ち付ける悪天候だったが、たくましく育ったライチョウ家族は関係者や地元の期待を背負って巣立った。

駒ケ岳では北アルプスから飛来したと推定された雌1羽が2年前に見つかり、同省が「復活作戦」を計画。生息数を増やそうと今月1日に乗鞍岳から3家族をヘリコプターで運び、小屋のケージに入れて保護していた。

ひなはふ化から1カ月が経ち、体温調節や飛ぶことができるようになり、雨風や天敵動物から身を守れるようになったために放鳥。作戦のきっかけとなった雌の生存も確認されていて、この雌を加えた計20羽による来年以降の繁殖や保護活動で、5年後には100羽まで増やす計画だ。

生育が早かった1家族は3日に、残り2家族は7日に放した。この日、ケージの扉が開くと、雨風の中へ母鳥にひなが続いて歩を進めた。高山植物をついばんだり、寒さをしのごうと母鳥がひなを抱えて温めたり。スタッフはケージからある程度離れた地点まで家族を誘導し、見送った。

「復活を19羽に託した。しっかり生きてほしい」。そう願ったのは現場で指揮を執った中村浩志・信州大名誉教授(73)。ライチョウを捕食する天敵対策を課題に挙げたが、「うまくいけば来年の繁殖期までに3割程度生き残ってくれるのでは」と期待。登山者には「遠くから見守ってほしい」と呼び掛けた。

復活に向けた地元の期待は大きい。宮田村は、ヘリ移送後から村職員を交代で現地に派遣。ライチョウの見守りなどを手伝った同村職員の浦野幸二郎さん(26)は「希望ある事業。ライチョウの数とともに中アを訪れる人も増えれば」と話していた。

同省信越自然環境事務所(長野市)は、ライチョウを目撃したら日時や場所、標識の足輪の情報を同事務所野生生物課まで寄せてほしいとしている。

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