諏訪圏工業メッセ中止 コロナ禍で賢明な判断

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「魅力あるSUWAブランドの創造」を目指して2002年から開催してきた県内最大の工業見本市「諏訪圏工業メッセ」が19回目となる今年、新型コロナウイルスの影響で初めて中止に追い込まれた。十分なビジネス効果(商談、販路拡大)が見込めず、「万が一、会場で感染者が確認されればブランドにも支障が出かねない」懸念を考慮した。地域への経済効果は毎回10億円を超えるとされるメッセの中止は、コロナ禍で疲弊する地域経済にとっても大きな打撃だ。地元企業から残念がる声が相次ぐ一方で、感染への不安と日々向き合っているだけに「賢明な判断」との受け止めが大勢のようだ。

「メッセの最大の目的はビジネス」。同実行委員会の小坂和夫推進本部長が開催意義について語る時、いつも口にするフレーズだ。諏訪圏工業メッセは、1991年以降のバブル崩壊で工業製品出荷額が減少の一途をたどっていた当時、危機感を持った企業人らが「まずは諏訪の企業、技術を知ってもらおう」と始めた。展示会運営を専門業者に任せるのではなく、地域が一丸となって取り組んできた。出展企業数や小間数、来場者数は回を追うごとに増加傾向を維持し、「地方では国内最大級の工業専門展示会」と呼ばれるまでになった。

同実行委によると、前々回(18年)出展企業が前回(19年)の開催時までの1年間に合わせて約7億5000万円の新規受注を獲得した。民間のシンクタンク長野経済研究所(長野市)の試算では、前回のメッセで出展企業が行った出展準備、製品開発、設備投資、来場者の飲食、宿泊、土産代などをまとめた直接的経済効果は約5億7500万円に上る。

今年の中止について、毎回、広い出展ブースを構えて来場者を迎えてきた企業の中にはすでに社内に準備委員会を組織して展示内容の検討に入っている企業もあり、「残念だ」といった声が聞かれた。セイコーエプソン(諏訪市)も「大変残念」とした上で「再開の折には諏訪の『ものづくり』の魅力をより多くの皆様に発信されることを願う」とコメント。キャラクター企画開発のピーエムオフィスエー(同市)は「地元に自社をアピールする絶好の機会だったので非常に残念だが、コロナ禍の中では賢明な判断」とした。

メッセには多くの県外者の来場が見込まれていただけに宿泊業界への影響も出る。RAKO華乃井ホテル(同市)は「工業メッセは宿泊業界にも大きな波及効果がある。今年は観光関連イベントも次々と中止になっている。仕方がない」と話した。

諏訪圏工業メッセのもう一つの特徴が「次世代のものづくり人材育成の場」の提供。例年、3日間で小中高校生、大学生約3000人が訪れている。毎年生徒を会場に送っている岡谷工業高校(岡谷市)は「キャリア教育の一環として地元の企業を知る貴重な機会だった。卒業生の約半分が地元企業に就職していることもあり、工業メッセを進路の参考にしている生徒も多い」としている。

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