2016年08月06日付

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ギラギラした日差しの下を子どもたちがプール用具を抱えて学校へ向かう。夏休みならではの光景がほほ笑ましいが、近ごろは虫捕り網を振り回したり、川の中ではしゃぐ姿はめっきり見られなくなった▼野外授業で児童たちが虫を見て「キモイ、死ね」と大声を上げた。道行く子どもが、体にまとわりつく羽虫に「気持ち悪い。この世からいなくなっちゃえばいい」と声を荒らげる。そんな子どもの姿に、あの事件が重なる▼相模原市の知的障害者施設で45人が殺傷されたニュースは背筋が凍る思いがした。犯行後も悔いる様子がない容疑者の姿には内面に深く根差した残虐性がのぞく。そしてその思考の成り立ちには、感受性の乏しさやコミュニケーション能力の低さが影響していると思えてならない▼見聞きした言葉の額面通りにしか気持ちを読めず、個々に応じた接し方ができない、他者を認められない―。そんな心の生育不足が遠因にあるとすれば、犯罪の芽は社会の至る所にある。事件後、各方面から提起された障害者への偏見や差別の意識より問題は深刻かもしれない▼学校を離れて異世代と触れ合い、自然の中で生態の違う生き物にも出会える夏休み。たとえ思いを他者に伝える術がなくても、感情は空気に乗って響き、目の輝きや全身にあふれる力強さから生きる意志を感じ取れるはず。この時期に得る心の糧には重要な意味があると思う。

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