2020年8月24日付

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「このごろ富士見は何だか熱いね」。他地域の人にそう声を掛けられた。連日の酷暑で冷涼な気候がウリの高原地帯もついに…という話ではなくて。人や町なかの動きが盛んに見えるそうだ▼地域の活気は祭事やイベントのにぎわいで測られることが多いが、真の実力は住民が地域へ寄せる思いの深さにあるのではないだろうか。自身の仕事、代々受け継ぐ土地への奉仕を地道にこなす勤勉な暮らしの中で「この地のために」という気持ちも自然と湧き上がってくる▼信州でそうした人が育つ一因は「土」にあるようだ。農業が主産業。何代もかけて豊かな大地を育ててきた。染み込んだ汗は実りとなって必ず応えてくれるから土への愛着は年々深まる。富士見では近年、農業の新たな担い手誘致も奏功し、10年で56人が移住、定着率はほぼ100%。家族を持ち、子育てが始まった世帯もある▼農業は水の確保や土手の管理など周辺への気遣いと協力が不可欠だから在の人とも交わり、地域に溶け込みやすいようだ。おのずと頼もしい支え手に育つ。今夏、それが発展の枝を伸ばして新たな花がほころび始めた▼花き栽培の若手有志が町内に直売所を新設した。地元古参の経営者の願いを受けて出店を継承、品ぞろえに若いセンスが光る。「今まで八ケ岳と地域の人からもらうばかりだった恩を返したい」。土に根差した縁は固く揺るがない安定感がある。

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