2020年9月5日付

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自分らしさとは何だろう。福沢諭吉は「自分らしく生きることのできない人には 次なる道は開けない」と個性の研磨を説いた。この処世訓を知ったのは中学生時代だったが、30年が過ぎても毎日が手探りで答えにたどり着かない。どうにも難解なテーマである▼辰野町議会が開いた中学生模擬議会は、掛け値なしに素晴らしい企画だった。議員役の生徒が「スポーツの町活性化へ、サイクリングロードを整備して」「通学路の安全対策で街灯やグリーンベルト増設を」と率直な要望をぶつける。真剣なまなざしに、町の理事者も襟を正して答弁した▼印象的だったのは、信州辰野ほたる祭りでごみ拾いを経験した生徒が「町を挙げてごみ拾いをイベント化すれば、幅広い世代の環境意識が高まる」と提案したこと。10万人超が訪れる祭りの熱狂の中で課題を見つけ、協働のまちづくりの可能性を示してみせた▼質問は予算を度外視したり、町の担当でない案件だったりと粗削り。それでも自分なりに郷土の現状と向き合い、偽りなく理想の未来を語った生徒たちは格好よかった。目には見えないけれど、彼らは次なる道を開き、自分らしく生きるためのヒントを手にしたはずだ▼市町村議会の9月定例会が開会し、一般質問が始まった。本職の議員が個性を発揮し、舌鋒鋭く行政課題に切り込んでいく姿が見たい。大人も負けじと、自分らしさを追い求めよう。

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