島根、鳥取県の湖「中海」 諏訪湖を手本に再生

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島根、鳥取両県にまたがる湖「中海」の水質改善に向けた湖岸清掃活動が諏訪湖アダプトプログラムを参考に進められている。「泳げる中海」を目指した活動は地元のケーブルテレビ「中海テレビ放送」(鳥取県米子市)が番組を通じて関心を高め、住民や行政を巻き込んだ。諏訪湖と同様に水質が悪化した歴史を持つ中海では、自然環境の中で行われる長距離水泳「オープンウォータースイム」の大会が毎年開かれるまでになった。

■テレビ番組から

同社は2001年から中海の浄化、環境改善に取り組む住民らの動きを追うテレビ番組「中海物語」を継続し、住民らによる再生プロジェクトを多角的に報道。日本の放送文化の質を高めた番組を表彰するギャラクシー賞(NPO放送批評懇談会主催)は今年、地域の環境改善につなげた同番組を報道活動部門大賞に選んだ。

これまでの放送の中では、再生を目指す関係者が討論する企画が組まれた。住民、企業、団体に「親が子を育む」ような意識で公共物の美化活動に取り組んでもらうアダプトプログラムの導入が議論された。番組は先進地として02年に諏訪湖を取材。同番組を当初から担当する上田和泉記者(44)は、当時の諏訪湖を「嫌な臭いはなく、きれいと感じた。湖畔には多くの人がいて良い雰囲気だった」と話した。

諏訪湖アダプトプログラムは、湖周を32区間に分け、1区間500メートルを2~3団体が担当する。事務局の県諏訪建設事務所によると、昨年度は63団体が延べ約180回にわたって活動し、延べ約4000人が参加。約11トンのごみを回収し、草刈りなども行った。「湖畔のごみが減ると、景観が良くなるだけでなく、湖に対する愛着が湧く。そこが狙い」と話す。

■「泳げる中海」

中海では民間団体が主体となった環境美化の活動が始まり、番組の後押しを受けて広がった。その動きはやがて行政を動かす。米子市は06年度に中海アダプトプログラムを導入した。11年6月に「中海オープンウォータースイム」が始まり、以降毎年6月に開催(今年はコロナ禍の影響で中止)。近年は約200人が集まり、「泳げる中海」を象徴する大会となった。

県諏訪地域振興局環境課によると、諏訪湖の水質は今、国の基準では泳げるレベルにある。諏訪湖を泳ぐ定期開催のイベントはないが、諏訪湖と八ケ岳山麓を結ぶトライアスロン大会の実現に向けた動きが始まっている。

■17年ぶりに来諏

昨年8月、取材で17年ぶりに諏訪湖を訪れた上田記者は、諏訪湖創生ビジョン推進会議の沖野外輝夫会長(83)=諏訪市=にインタビューし、諏訪湖の現状を把握。「以前には目立たなかった水草ヒシの多さに驚いた」と語った。諏訪湖の総合計画「諏訪湖創生ビジョン」では目指す姿の一つに「泳ぎたくなる諏訪湖」を掲げる。

上田記者は「水質はもちろんだが、見た目のきれいさを大切にする視点が必要では」と指摘した。沖野会長は「諏訪湖の水質改善の取り組みや成果を同様の課題を抱えるほかの湖沼に広げ、互いに情報交換することは大切だと思う」と話した。

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