貞松院の「大字名号」 長野市へ貸し出し

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徳本の大字名号。貞松院の本堂で現状を確認する山田住職(左)と細井学芸員

諏訪市諏訪の貞松院(山田雄道住職)の寺宝で、江戸時代に民衆や大名から熱狂的な支持を集めた名僧、徳本上人の書「大字名号」の掛け軸が、長野市立博物館(同市小島田町)の特別展「生き仏が信濃にやって来た―念仏行者徳本を迎えた人々」(19日~11月3日)で展示される。同館の細井雄次郎学芸員が15日、貞松院を訪れ、軸を借り受けた。

徳本(1758~1818年)は紀州出身の念仏行者で、山にこもって念仏修行を20年続け、教化活動のために全国を行脚した。信濃には最晩年の人気絶頂期に訪れ、1816(文化3)年4月から130日滞在し、20万人以上が徳本の説法を聞いた。県内各地に徳本の字体を刻んだ「南無阿弥陀仏」の念仏塔が数多く残されているのはこのためで、その数は約500基に上るとされる。

貞松院は中南信の浄土宗寺院のまとめ役(総録所)だったことから、同年7月から1カ月ほど同寺で過ごし、長さ5.15メートル×幅1.1メートルの紙に「南無阿弥陀仏」と書いた大字名号を残した。掛け軸だと長さは6.8メートルに及ぶ。本堂に入りきれない信者のために屋外に掲げられたという。

同名号は徳本による「天下の三幅」の一つで、現存するのは同寺だけ。文字は丸みを帯び、終筆がはね上がっていることから縁起がよいとされ、「徳本文字」「ひげ文字」と呼ばれる。同市上諏訪の唐澤山阿弥陀寺に残る名号碑の元になった。

同名号の貸し出しは、徳本の古里、和歌山県日高町での200回忌に提供した2017年以来。長野市立博物館は特注ケースを製作し、その中に名号を広げて展示する。諏訪地方からは正願寺(諏訪市)に伝わる徳本のけさも出品される。200年前に徳本が広めた念仏信仰と彼の生涯に触れることができる。

山田住職は「一人でも多くの人に見ていただき、諏訪の文化の豊かさを知ってもらえたら」と期待。細井学芸員は「これだけ大きい徳本の掛け軸は他にない。特別展の目玉になると思う」と話した。

同館は月曜休館。開館時間は午前9時~午後4時30分。入館料は大人300円、高校生250円、小中学生100円(土曜日は無料)。 

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