2016年08月10日付

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「そっちだ」「飛んだぞ」森の中に響く男性たちの声。視線の先にあるのは右に左に揺れながら飛ぶ小さな物体。正体は蜂。「地蜂」と呼ばれるクロスズメバチを追って巣を探し出す「蜂追い」のひと幕だ▼先月、伊那市地蜂愛好会が開いた「蜂追い大会」でその様子を初めて見た。事前に森林内に餌を仕掛けておき、寄ってきた蜂に白い目印を付けた餌をつかませ、巣に持ち運ぶところを追う。草木が生い茂る道なき道。大半は年配者と言っていい年代の人たちだが、その健脚ぶりには驚く▼幸運にも巣を見つける場面に立ち会うことができた。その場の全員で握手を交わし、喜びを分かち合った。愛好会の田中耕一会長によれば、山の中で小さな蜂を追うのはやはり至難の業。失敗する方が多いそうだ。それだけに巣を見つけた時の喜びは大きいという。独特の文化だと再認識したが、愛好者は減っているそうで残念だ▼夏休みに虫取り網を持って駆け回る子どもの姿もあまり見なくなった。カブトムシもホームセンターで買える時代。自分で捕まえるより手っ取り早いのだろうが、あの宝物を見つけたような感激は今でも忘れられないし、お金では買えない▼同じ捕まえるでもこちらは仮想現実の中のモンスター。話題のスマホゲームをする人をあちこちで見掛ける。虫取り網がスマホに取って代わられたよう。これが夏休みの風景だとすれば少々寂しい。

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