地域に愛され73年 中国料理みどり閉店へ

LINEで送る
Pocket

中国料理「みどり」を営む立石勝幸さんと妻の聖子さん

伊那市山寺の飲食店「中国料理みどり」は、29日の営業を最後に閉店する。終戦後の1947(昭和22)年に開店し、以来73年間にわたって営業を続け、地域の人たちに愛されてきた。経営者の立石勝幸さん(81)と妻の聖子さん(76)は「閉店は年齢を考えて判断しました。お客さまには大変感謝しています」と話している。

同店は勝幸さんの父四郎さんが創業した。四郎さんは東京都池袋で飲食店を営んでいたが、戦禍を逃れ、終戦の45(同20)年に妻の実家がある伊那市へ疎開。その後、同市坂下の小沢川に架かる伊那橋の横にあり、川側へ大きくせり出した建物を使って、最初はクラシック音楽が聴ける喫茶店、後にラーメンやうどんを提供する店を営んだ。多くの来客は店の床板の隙間から見える川の流れを眺めて食事をしたという。

長男の勝幸さんは東京生まれ。幼稚園の時に父よりも早く疎開し、高校まで伊那市で暮らした。その後上京。新橋や新宿の中華料理店で6年間修業して帰郷し、父の店を手伝った。勝幸さんは「当時は食べるものが少なく、ラーメンがごちそうの時代。値段は1杯40円だったが大勢が来てくれた」と振り返る。

続く64(同39)年には、JR伊那北駅近くの現在地に新店舗を構え、しばらくは伊那橋横の店舗と2店を営業。新店舗では勝幸さんが本格的な中国料理を始めた。「当時は日曜日ごとに満席で忙しく、お客さんに『うまかった』と言ってもらえるのが励みだった」と話す。結婚後は長女、次女に恵まれ、近年は家族ぐるみで店を回していた。

料理メニューは約80種類。常連客はチャーハンや軟らかい焼きそばの上海メンなど、各自こだわりの一品を食べ続ける傾向があるという。最近は閉店を知って「思い出の味を食べておこう」と訪れる人でにぎわう。休みなく働いた勝幸さんは「閉店したら少し体を休め、先のことはその後に考えたい」とし、聖子さんも「今のうちに閉店し、いろいろな整理や片付けを済ませておきたい」と望んだ。

営業は午前11時~午後7時30分。時間内でも食材がなくなり次第営業を終える場合あり。問い合わせは同店(電話0265・72・4393)へ。

おすすめ情報

PAGE TOP