八ケ岳農業実践大学校 放牧養豚を再開

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家畜の心理面にも配慮するアニマルウェルフェアでの放牧養豚の研究を進める八ケ岳中央農業実践大学校畜産部長の佐藤さん

八ケ岳中央農業実践大学校(原村)は7月から、豚の放牧飼育を12年ぶりに再開させた。同校が進めるアニマルウェルフェア(AW、動物福祉)に基づいた飼育方法の研究の一環。放牧による養豚は倫理的にも実利的にも持続可能性の高い畜産につながる│とし、飼育方法を確立して養豚農家への普及を目指す。また、放牧豚の加工肉製品としてブランド化し、11月にも同校直売所で販売を始める。

同校は生後3カ月の子豚32頭を6月下旬に受け入れた。7月20日から、電気柵で覆われた50メートル四方の2区画で2群に分けて放し飼いにしている。豚舎はビニールハウス製で、出入り自由だ。外敵防止のため、周囲には全長400メートルの柵を巡らせている。放牧豚は雑草のほか、草の根やミミズ、土なども食べるという。穀物飼料も与えている。

AWは、家畜を快適な環境下で飼養することで家畜のストレスや疾病を減らし、結果として生産性の向上や安全な畜産物の生産にもつながるとする考え方。AWの研究を進めている同校畜産部長の佐藤衆介さん(70)=東北大名誉教授=によると、放牧豚は一日のうち、13時間は寝て、2時間は地面を堀り、1時間は泥浴びをしたり仲間と遊んだりして過ごす。

放牧飼育によるメリットについて「広いスペースがあるのでけんかが少なくなり、体の傷が減る」と指摘。また、泥遊びで体温調整をし、土堀りで餌を探す欲求も満たされる。仲間との遊びは豚舎に閉じ込めた飼育では見られない行動といい、「遊びの行動は『喜び』と関係している」とし、放牧による心理的な健康を重要視している。集約畜産である豚舎飼育で多発する呼吸器病も、放牧することで減少するという。

加工肉の製品化のため、豚は6~7カ月で加工業者へ出荷する。同校ではハム、ソーセージ、ベーコン、生ハムなどを製造予定。放牧豚は豚舎飼育と異なり「豚臭さがなく、香りがよく、赤みが強い」ことが特長。放牧豚の同校オリジナルブランドとして売り出す計画。

佐藤さんは「放牧養豚は土地さえあれば施設費は安く済むので新規参入しやすい。中山間地の耕作放棄地を復興する方策の一つになる」と、放牧養豚のさまざまな可能性に期待している。

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