2020年10月8日付

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空気を震わせる破裂音は、カチカチに貼り固められた玉皮があってこそだろう。その花火玉にメッセージを貼り付けるわけで、その音とともに空中で粉々になってしまうことは分かり切っている。だが、頭上で花開く大輪に願いが重なっていると思えば、一発一発がいつもと違って見えるかもしれない▼上伊那農業高校が9、10日に第101回上農祭を開く。新型コロナウイルス感染症対策で今年は一般公開しない。実習で栽培した農作物の販売が人気で、毎年多くの来場者を集めているが、やむなく中止する。地域とつながる唯一の企画が2日目に予定している打ち上げ花火だ▼生徒たちは花火玉に自分たちの思いを書いたメッセージを貼ってもらおうと考えた。地域の人たちを元気づけたい―。頑張っている医療関係の人たちを応援したい―。そんな気持ちを小さな印字シールに書き込んで、煙火店に持ち込んだ▼「頑張れ世界」と書いたクラスがあった。「みんなの笑顔が増えますように」と願いを書いた生徒もいた。思いを受け取った煙火店は「前を向いている生徒たちがいて、それを後押しする先生方のパワーみたいなものを感じる」と話していた▼これまで全校で取り組む行事が一つもできなかった生徒会が、できることをやろうと考えた。「土曜日の夕方、上農の空をご覧ください」。地域に開き、つながる生徒たちからの感謝の気持ちでもある。

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