2016年08月14日付

LINEで送る
Pocket

連日の暑さで参った体力の栄養補給にと、冷蔵庫にあった甘酒を飲んだ。きりっと冷えたのどごしの良さと、天然の麹が生み出したやさしい甘み。猛暑でぐったりして帰宅した疲れが消し飛んだような気がした▼寒い時期のものというイメージが強いけれど、俳句の世界では夏の季語に分類される。江戸時代は夏の飲み物として知られ、市中に甘酒売りが出て、樽をてんびん棒で担いで売り歩いたそうだ。現代のようなドリンク剤もない時代。暑さから身を守るため庶民に親しまれたのだろう▼発酵食品の代表だ。ブドウ糖が成分の主体で、麹菌が発酵する際に作る多様なアミノ酸やビタミンを含み、栄養価に富む。「飲む点滴」の異名までつき、最近は良さが見直されて愛飲する人が多い。自宅でも比較的簡単にでき、牛乳で割ったり、凍らせたりといろいろな楽しみ方ができるのも魅力を増す▼そもそも発酵食品は日本の高温多湿な気候を生かし、先人が生み出した知恵の結晶である。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された「和食」を特徴付ける一つ。みんなで守り、継承すべき食文化と言っていい▼納豆に漬物、みそ、しょうゆ。身の回りには工夫次第で夏ばて防止に役立ちそうな発酵食品が数多い。医食同源。いい食事は体を病から守ってくれる。伝統食を使って厳しい夏を乗り切りたい。暑さの峠ももうすぐそこである。

おすすめ情報

PAGE TOP