2020年10月23日付

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冷たい雨だった。「上は雪だね」。取材先でそんな話をしたばかりだった。翌18日の朝の中央アルプスはうっすらどころか、真っ白に輝いていた。中ア千畳敷では30センチほど雪が積もったそうだ。高山にはもう冬が来ている▼雪化粧した中アに、里の柿が浮かび上がって見えた。葉っぱの緑色に同化していた実がすっかり色づき、その存在をアピールしているかのようだった。今年の実りはどうだろうか▼出没が相次ぐクマ対策で、県北の木島平村では高校生たちが里山で実ったままになっている柿の実を収穫したそうだ。所有者の高齢化などで柿の管理ができなくなっていることが背景にあるようだが、もがれることなく放置されている柿の実はクマを呼び寄せる。早めにとってしまうことで、クマが寄り付かないようにする作戦だという▼報道によると、収穫した柿は渋抜きをして地域の人たちに配るらしい。柿の味を知っている人たちに、季節を感じながら食べてもらう気の利いた取り組みだと思う▼身近な果物として柿が暮らしと結びついていた時代には、選ばれて庭先で栽培されていた。近ごろは店で売られているもの以外は見向きもされなくなっているが、渋柿でも、そのまま割って干したり「さわし柿」にしたりして食べていたのではないだろうか。通りに面した家の軒下に、10個ほどの柿がつり下げられているのが見えた。なんとなくほっとした。

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