2016年08月15日付

LINEで送る
Pocket

生前退位の意向を強くにじませていた。8日に行われた天皇陛下のお気持ちの表明は歴史的な出来事として記憶されるのだろう。表明は意外だったけれど、内容は事前の報道の予想内だったから驚きはなかった▼71年前のきょう、正午から「玉音放送」があった。ラジオで予告され、天皇自らの放送であり、国民は必ず聞くように呼び掛けられた。それが終戦のメッセージだと予想した国民はどれくらいいたのだろう。戦況の悪化はひしひしと感じていても、「敗戦」は覚悟できていなかったのではないか。青天の霹靂だったに違いない▼「戦争は必ず勝つとばかり信じ込まされていたのが、遂に日本は負けたということが現実のこととなり、負けたことの悔しさが込み上げてきた。この悔しさをいつかはきっと晴らすんだと、私たち若い者はその力にならなければと話し合った」。学生だった春日輝海さん=伊那市=は、郷土誌「伊那路」8月号に寄せた戦争体験記で、当時の心境をつづっている▼「今考えると全く滑稽にさえ思われるかもしれないが、あのときはお互いに真剣に考えた」と振り返った。軍国教育がもたらした“成果”であり、自然な感情だったろう▼敗戦を機に民主主義国家に生まれ変わり、戦時中のような教育や言論統制は姿を消した。だからといって今はあの頃より賢く、愚かなことはもう繰り返さないと自信を持って言えるだろうか。

おすすめ情報

PAGE TOP