中アのライチョウ復活へ手ごたえ 冬羽姿確認

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中央アルプス駒ケ岳直下の岩場で生息が確認されたライチョウ。白い冬羽毛に生え変わっていた=10月31日午前9時39分(代表撮影)

国の特別天然記念物ライチョウが半世紀前に絶滅したとされる中央アルプスで、環境省が8月に北ア乗鞍岳から移送した個体による来年の繁殖が現実味を帯びてきたことが分かった。生息状況を確かめる同省の調査が10月末にあり、中ア駒ケ岳周辺で白い冬羽姿になった5羽が確認された。ライチョウの冬の生存率は高く、「いま生きていれば繁殖につながる可能性が高い」と担当者。他に目撃例があることも踏まえ、同省は来夏のひな誕生を一つの目標とする”復活作戦”の成功に向けて手ごたえを得た。

同省の信越自然環境事務所(長野市)による調査が行われた10月31日午前9時すぎ、駒ケ岳直下の急斜面の雪上にいた5羽を発見。辺りに積もった雪に身を溶かすように、白い羽毛に生えかわった若鳥には、放鳥した個体と分かる目印の足輪があった。目元の羽毛の特徴から性別も雄3羽、雌2羽と判別できた。

生育を確認するために同事務所の小林篤専門官が、釣りざおの先にワイヤを付けた器具で3羽を捕獲。新たな足輪を付けるとともに体重を計測すると470~490グラムで、成鳥とほぼ同じ大きさの若鳥にまで生育したことが確認できた。作業が終わり小林さんが再び解き放つと、若鳥は雪景色の中に姿を消した。

5羽の中には親鳥の姿はなく、親離れ後の若鳥が集まってできた群れといい、小林さんは「順調な生育過程を踏んでいる証」と説明。さらに、今年生まれたひなは来年には繁殖できるようになるため、これまで中アでは確認されていなかった雄の存在が今回初めて分かり、来年の繁殖に大きな希望を抱かせた。

広大な中アで野生個体を見つけるのは大変な作業で、2日間の調査で確認できたのは5羽のみ。ただ、9月下旬の調査でも親離れ前の1家族5羽が確認されているほか、ふんなどの痕跡が多くの地点で見つかっていることから、同事務所は「現在も多くの個体が生存している」とみている。

復活作戦の指揮を執る中村浩志・信州大名誉教授は「ひなが若鳥となって親鳥から独立するまでこぎ着けることができ、今年の目標は達成できた。できるだけ多くのつがいが誕生し、繁殖してほしい」と期待した。

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