2020年11月7日付

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祖母は蛇が嫌いだった。細長くて手足がない動物を受け入れ難かったらしい。祖父がまむし酒をつくっていたが、焼酎にマムシを漬けた瓶に目隠しの紙が貼ってあった。中身を見えなくした瓶を奇妙に感じ、訳を聞いて納得したものだった▼同じ理由でウナギも苦手だった。食べるのも駄目で、たまのごちそうで食卓にウナギが出た時は、祖母の前だけ別の料理が置かれていた。子ども心に「こんなにおいしいのに」と、やはり不思議だった▼同時に「自分にも、どうしても嫌なものや駄目なことがある。ほかの人にもあるんだ」と気付かされもした。「それは自分とは違うものやことかもしれないし、むしろ自分には好きなものや快いことかもしれないが、でも、その人にとっては耐えられないほど不快で苦痛なんだ」と知った▼今年、芸能人の自殺が相次いだ。まだ若く、人気も将来性もあるのにどうしてと思ってしまう。厚生労働省と警察庁によると、昨年の全国の自殺者は2万169人で、近年は減少傾向にあり、1978年の統計開始以降で最少ながら、なお年に2万人超という数字に驚かされる▼自殺の動機は本人以外には知る由もないが、もしも、そこまで追い詰めたものが誹謗中傷やいじめだとしたら切ないばかりだ。ささいで何気ないつもりだったり、「これくらいのこと」と思ったりしたとしても、時には相手をひどく傷つけると心したい。

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