釜無アツモリソウ 遺伝子解析で固有種立証

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ホテイアツモリソウを遺伝子解析し固有性を突き止めた東北大大学院農学研究科生物共生科学研究室の陶山准教授(右)と同大4年の本宮さん

東北大大学院農学研究科生物共生科学研究室の陶山佳久准教授(56)と同大4年の研究生、本宮万愛さん(22)=青森県八戸市出身=は、国内外に自生するラン科の多年草、アツモリソウの遺伝子解析をし、富士見町内に自生する「釜無ホテイアツモリソウ」について、県内他地域をはじめ国内外の他のアツモリソウとは異なる固有種であることを初めて突き止めた。10、11の両日、同町を訪れ、保護育成に取り組むアツモリソウ再生会議で報告した。

アツモリソウは環境省が指定する絶滅の恐れが最も高い「絶滅危惧1A類」に指定され、町内もかつて絶滅にひんして14年前から保護再生に注力。他に類のない花の色形から町の固有種とみて、園芸種での一般名「釜無-」で呼んでいるが、保護活動上で必要な生物遺伝学上の性質と固有性の裏付けを求めて同研究室に解析を依頼した。

研究は今年5月に着手。陶山准教授が5年前に開発した解析法の新技術MIG―seg(ミグセック)法を用いて県内は八ケ岳、霧ケ峰、美ケ原、国内では北海道など海外の自生株も含めて71のサンプルで行った。

従来手法では見分けがつかなった細かい遺伝子情報の解析によって、県内他地域の種は「アツモリソウ」、富士見町内の種は「ホテイアツモリソウ」と明確に区別。広義では同じアツモリソウ属であるものの、「違った進化をした異なる種」で、入笠山のホテイアツモリソウは「地域内で交配し、独自に進化してきた固有性、地域性が裏付けられた。富士見町、長野県にとって宝であることが改めて証明された」(陶山准教授)とする。

解析研究ではこのほか、再生会議が15年間にわたり自生種から増殖してきた苗の親子関係(系統)も明確になった。今後の保護活動にあたり、適切な交配や自生地保全の方法が示せる他、「盗掘の抑止にもなる」と期待を込める。研究成果は今後、学会や論文などで発表する予定。

研究室の2人が富士見を訪れたのは今回が初めて。本宮さんは「保護活動の現場を目にし、地元の人たちに愛されていることを実感した。成果を喜んでもらえてうれしい」と話した。

再生会議の中山洋会長は「長年懸案だった固有種の裏付けがされて大変うれしい。一層大事な種の保護に全力で取り組む」と意欲を新たにしている。

町内での再生は気候の影響で一進一退をしつつも、当初の4株から種で増やして今年は苗が約2万本となった。無菌のフラスコから自然環境下での育苗、さらに実験園での自然増殖へと、復元に向けて一歩ずつ確実に進んでいる。

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