2020年11月15日付

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東アフリカのエチオピアで北部の政党「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」と政府が対立している。一連の争いは一昨年、首相に就任した最大民族オロモ出身のアビー・アハメド氏に、長く政治の実権を握っていたTPLFを構成する少数民族ティグレの政治家が、汚職容疑で追放されたことを背景に激しくなった▼エチオピアは国土の9割が砂漠の隣国スーダンとは違い、起伏に富んだ地形で水も緑も豊かな国。農業や工業が発展する可能性を秘める。だが実際には長く隣国との戦争と内戦を繰り返し、今も世界の最貧国から脱せられない▼エチオピアと隣国ケニアの国境には、国境線を挟んで両国に「モヤレ」という町がある。買い物に入ると、エチオピア側の店は商品が少ないが、ケニア側の店は品数が豊富で、コピー機も備える利便性があった。ケニアが東アフリカ経済の中心地というだけでなく、エチオピアの政情不安が地方経済にも影を落としていた▼アフリカは多くの民族の集合体で一つの国家を形成している。歴史を見ると、一民族の指導者が政治の実権を握ることで、自己の民族だけを優遇し、他民族を虐げる不公平感が内戦の火種になっている▼アビー首相は昨年隣国エリトリアとの紛争に終止符を打ち、和平合意を実現した功績でノーベル平和賞に輝いた。平和への意識は高いはず。自国の民族間の融和に向けた指導力に注目したい。

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