島村利正の小説の舞台 高遠の読書会がたどる

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昔の街並みを知る地元の人の話を聞きながら小説の舞台をたどる六川宗弘さん(左)と読書会のメンバーら

伊那市高遠町図書館を拠点に、高遠出身の小説家、島村利正(1912~81年)の作品に親しんでいる読書会の会員8人が14日、文学研修で高遠の街中を歩いた。島村が74年に発表した小説「城址のある町」に登場する場所や家を確める取り組みの一環で、作品への理解を深め、島村の小説作法の解明につなげる。

島村研究の第一人者で、長野吉田高校教諭の六川宗弘さんを招き、街を探訪。昔の街並みを知る人の話を聞き、小説に登場する教会の位置を特定した。既に建物はなくなっていたが、あめ屋の隣の建物の2階に教会があったといい、六川さんは「あめを切る音が聞こえる印象的な場面はここだった。作品の世界が時代を超えた人と人の記憶としてつながった」と話した。

島村は生涯にわたって古里高遠を愛し、高遠を舞台にした小説や随想を何編も残した。作品には虚構の部分と現実そのままの部分があり、メンバーの一人、北山ひろみさんは「読んでいくと高遠の景色が目に浮かんでくる」と話す。

コロナ禍もありしばらく活動を休止していた読書会だが、今秋から再開。仲間同士の記憶や街の人の話を集めながら作品の舞台を想像してきた。今回は小説「城址のある町」の前半部分について登場する場所を街中で確認。小説で描かれた坂道の距離感なども体感した。

読書会では今後、後半部分の確認作業を行い、別の作品についても調査を始める。活動に助言をする六川さんは「大正から昭和初期の高遠の様子を伝えているのは島村作品ぐらいしかない。作品の魅力を伝えることで、今につながる高遠の魅力を伝えることになる」と期待した。

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