2020年11月28日付

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県が公用車として所有しているトヨタの高級車「センチュリー」をオークションに出すというので、撮影のために屋外へ出してもらった。後部座席をのぞいてみると、柔らかく座り心地のよさそうなシートの向かいにVHSのビデオテープを再生できるデッキが設置されていた▼公用車だけあって丁寧に扱われてきたことが一見して分かる車両で、おそらくビデオデッキもしっかり作動するだろうと思うと、何やら状態の良い遺跡を発見したような気分になった。車両を購入したのは20年前というから、DVDの普及が始まった頃だろうか▼今なら車内で映像を見る必要があれば、持ち運びできるDVD再生機ですらなく、ノートパソコンやタブレット端末の出番だ。タブレット端末なら巻き戻しや早送りなどの操作も物理的なボタンを押す代わりに画面を指でたたいて行う▼つい「巻き戻し」という言葉を使ったが、これもカセットテープやビデオテープの時代だから通用する言葉で、現代のテレビのリモコンは同じ機能を「早戻し」と表記してある▼「巻き戻す」という言葉を使うと年齢がばれるようになったか。とはいえ「時間を巻き戻す」のような使い方は慣用句になって残るような気がしている。「かぶとを脱ぐ」を現代でも「ヘルメットを脱ぐ」とは言わないように。ひょっとしたら、新しい慣用句が生まれる瞬間に立ち会っているのかもしれない。

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