諏訪地域 コロナ禍の就職活動

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コロナ禍による不安定な社会情勢が企業経営を圧迫する中、就職活動にも大きな影響が出ている。来春卒業予定の大学生の10月1日時点の就職内定率(文部科学省、厚生労働省調査)は69.8%で、前年同期比7.0ポイント減。2016年3月卒からこの時期の内定率は上昇傾向または微減で推移しており、ここ4年は70%台を維持していただけに今後への影響が懸念される。厳しい状況の中、就職・採用活動をどう乗り越えていくか-。諏訪地域の大学生や企業の声を聞いた。

■選択を広げる

「コロナ禍の就職活動を通して、臨機応変の対応力が必要だと学んだ」。諏訪東京理科大学(茅野市)工学部機械工学科4年の河野太祐さん(22)は振り返る。

航空機の整備士を目指して今春から就職活動を始めた矢先、新型コロナによる外出自粛要請や緊急事態宣言などに見舞われた。応募した10社余りの採用活動が全て「中断」となり、7月には採用自体が「中止」に。就職活動を一から考え直す必要に迫られた。整備士の「夢」は諦め「大学で学んだことを生かそう」と企業選択の幅を広げた。10月半ば、航空機の設計や開発などを手掛ける企業から内定を得た。迷ったが、視野を広げたことで「満足できる結果」を得たと実感した。

説明会や筆記試験、面接など全てがオンラインになった。「画面越しだと職場の雰囲気が伝わってこない」と戸惑ったが、「長時間の移動をしなくていいのと、試験の準備が十分できる」と、メリットも強く感じた。

■危機感持って

大学3年生も来年3月に本格化する就活に向けて動きだす。「コロナになってしまったからには、先行してできることに取り組んでおきたい」。諏訪東京理科大工学部3年の男子学生(21)は企業の情報収集を早めに始めた。別の同大工学部3年の男子学生(20)はオンラインと対面の両方でインターンシップを経験。就職で有利になる資格取得にも取り組んでおり「危機感を持って早めに動きたい」と準備を進めている。

■新しい発見が

企業側も採用方針、方法の見直しを迫られている。今春から夏にかけて合同説明会の中止が相次いだ。ある製造業の採用担当者は「今後は学生と幅広く会う手段の一つとしてオンライン環境の整備を考えないといけない」と話す。

茅野市の製造業「三社電機イースタン」は今春から採用にウェブ会議サービス「Zoom(ズーム)」を導入。「説明会への応募が増え、遠方の学生も参加してくれた」と新しい発見があった。来年度以降も新卒採用枠は減らさない方針だ。一方で「画面だけでは会社の良さが伝わったのか不安だし、学生の人物像の見極めも難しい」と課題も感じている。

コロナ禍の外出自粛が経営を直撃した観光業-。親湯温泉(茅野市)は今年3月の早い段階で、21年4月の新卒採用を断念した。柳澤幸輝社長は「既存社員の雇用を守ることを何より優先した」と話す。来季からは採用活動を再開させる方針。「採用過程でクラスター(感染者集団)を出さないことが重要。しかしホテルを実際に見せないでオンラインだけで採用することはあり得ない。バスの乗車人数を減らしたり、学生を2チームに分けたり、『3密』を回避する工夫をしたい」とする。

■大学サポート

諏訪東京理科大によると、来春卒業予定の学生の就職内定率は19日現在、72.7%。前年同期比6.4%減で推移している。同大は今年から遠隔授業とともに、就活のガイダンスや相談、面接練習などにオンラインを導入し、学生をサポートしている。リーマン・ショック(08年)時と同様、今後数年間にわたる就職の落ち込みに神経をとがらせるが、「変化に対応できる人材育成に努め、学生が希望する仕事に就職できるようサポートしていく」としている。

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