伝統つなぐ「薙鎌」 御柱祭へ製作進む

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鋼をしなやかにする「焼き戻し」。立ち込める湯気の中で薙鎌の形が神秘的に浮かび上がった

2022(令和4)年の諏訪大社御柱祭に向けて、上社御用材の本見立てで使われる神器「薙鎌」の製作が、茅野市玉川山田の「山田金山講 薙鎌の会」の手で進められている。両角金福会長(77)ら鋸職人3人から技術を受け継いだ30~60代の有志24人で製作。来年春に49体を大社に奉納する。「先輩方の心もしっかりと引き継ぎ、いい薙鎌を納める」と、緊張感と使命感を持って製作に励んでいる。

本見立ての際に御用材に打ち込まれるほか、北安曇郡小谷村で行われる薙鎌奉献祭などで使われる。今回は、1992(平成4)年の御柱祭以来5回ぶりに地元の御小屋山から御用材を調達することが発表されている。

昨年11月から製作開始。29日は地元の両角鋸工場で大社の北島和孝宮司や神職、大総代、地元の頭郷総代などに作業風景を公開した。

薙鎌の長さは30センチ、厚さは1.5ミリ前後。1884(明治17)年の原寸図を基にしている。鋼の板をレーザーカットでくりぬき、「粗削り」や約800度の高温で焼いて硬くする「焼入れ」を経て、しなやかさを出すための「焼き戻し」の工程へ。300度以上に熱した液体に入れて引き上げると、立ち込める湯気の中で薙鎌の形が神秘的に浮かび上がった。

薙鎌の製作は92年の御柱祭から、大社の依頼で鋸鍛冶屋衆「山田金山講」の職人が請け負ってきた。職人の数が減り高齢化が進む中、09年に若手と同会を発足。毎月2回のペースで腕を磨いたり製作を進めたりしている。

焼き戻しなどの工程を担う丸茂健児さん(57)は「皆が使命感を持っている。御小屋山で使われると思うと力が入ります」。同会事務局の本木政明さん(51)は「いい薙鎌を納める」と語り、表面を削る作業を進めた田中裕貴さん(39)は「次代に伝えられるよう、技術を自分のものにしたい」と意欲を示した。

両角会長は「薙鎌製作は山田が授かった大切なもの。継承できてうれしい」と、頼もしい若者たちの姿に目を細めていた。

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