2020年12月4日付

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「いない いない ばあ にゃあにゃが ほらほら いない いない…」。こんな書き出しで始まる絵本。「いないいないばあ」(童心社)である。1967年の刊行以来、50年以上にわたって親しまれてきた▼先月、日本の絵本では初めて累計発行部数が700万部を突破したと伝えられた。わが家にもあることを思い出し、久しぶりにページを開いてみる。顔を隠したネコやクマが登場し、次のページで「ばあ」と顔を出す▼子育てに奮闘していた頃。子どもを膝の上に乗せ、毎日のように読んだ。子どもは何度読んでも大喜び。こちらもついついつられてオーバーアクションになってくる。子どもはもちろん、親にとってもかけがえのない思い出である▼「マスク時代」と言われる中、セーフティネット総合研究所所長の南澤信之さんは小紙の連載で「発達段階の子どもたちにとってソーシャルディスタンスとマスク着用が思わぬ落とし穴になっている」と指摘していた。子どもは接触や顔の表情などから信頼感を抱き、言葉も表現も身に付けていくが、そうした時期に大切な人のぬくもりや口元の表情という五感で感じ取る情報が不足することは大きな損失という▼周りはみんなマスクを着け、表情は分からない。ホラー映画のひとこまのように見えているのかもしれない。マスクを外し、思いきり「ばあ」と言える日が戻ることを願わずにいられない。

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