明治創業「巣山額装店」 今月末で閉店

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12月末で店を閉じる巣山額装店の巣山徳十さん(右)と妻しげ美さん=伊那市荒井

伊那市荒井で手作りの額縁を販売し、書や絵の額装も手掛ける「巣山額装店」が今年12月末で店を閉じる。経営者の巣山徳十さん(83)が自身の高齢を理由に判断した。巣山さんの額は頑丈で美しく、閉店を決めた後も注文の問い合わせは絶えないが、製作は断っている。「体が動くうちに店の片付けをしたい。長年のお世話さまに感謝したい」と話している。

同店は巣山さんで4代目。創業は明治期で、初代はくぎなどを一切使わずに木材だけを組み合わせて家具などを作る指物師だった。その後、漆器も扱うようになり、巣山さんの父の時代からは額縁も手掛けるようになった。

父の技術を学び、若い時から家具を製作していた巣山さんは1982(昭和57)年、店の前の道路拡張に併せて店舗を新築。時代の需要を敏感に察知し、45歳で額装専門店として新たにスタートした。

当時は各地のサークル活動で、絵を刺しゅうで表現する「文化刺繍」の作成が盛んだったが、作品を入れる専用の額がなく、巣山さんは連日、額作りと額装に追われたという。その後も木や竹に文字を刻む「刻字」や、水墨画などの作品を収める木製額を手掛け、伊那市内では伊那中学校などの校歌の書を入れる額や、神社仏閣にもさまざまな製品を納めた。

「額縁は角の部分が一番傷みやすいので、丈夫に作ることを心掛けた」と巣山さん。妻のしげ美さん(82)も「職人気質で、仕事に手を抜かない人。しっかりした額でお客さまに喜ばれた」と話す。

閉店について巣山さんは「正直寂しい。だが先を考えると今が潮時」とし、「額縁作りに興味がある人がいたら話はしてあげられる」と述べた。同店は今月末まで閉店セールを行っている。営業時間は午前9時~午後6時。水曜日定休。問い合わせは巣山額装店(電話0265・72・3407)へ。

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