迫る御柱祭[第2部]つなぐ 1、旧岡谷市木遣保存会

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旧岡谷市木遣(きやり)保存会(武井信幸会長)が、御柱祭などで歌い継いできた地域独特の木やりの節回し「岡谷節」の継承に力を入れている。名人とうたわれる先輩木やり師の歌を聞き、発声の高低や特徴を譜面へ書き起こして練習に力を入れている。

「地域の特色を次世代へつなげるためにも、みんなで岡谷節を覚えていこう」。旧岡谷市内10区の有志でつくる同保存会では、前回2010年の諏訪大社御柱祭後から継承の活動を本格化し、ベテラン会員による曳行(えいこう)の木やりなどをCDに収録した。地域の名木やり師が年齢を重ねていく中で「名人の技をじかに聞くことができる今こそ、きちんとした形で残したい」という気持ちが強かったという。

御柱祭に関わる木やりは、場面ごとに「奥山の大木 里に下りて神となる」「山の神様 お願いだ」など複数がある。「山の神様 お願いだ」を例に岡谷と下諏訪町の節回しを比べると、歌い出しは岡谷節が「はあー」、下諏訪町は「やあー」。岡谷節では「はあー」の後に「息継ぎ可」の一拍が入り、抑揚は「山の神様」の部分で中上(なかあ)がりに、「お願いだ」の部分は平坦になる。

過去の「木やり日本一コンクール」では、「息継ぎ可」の部分が「声量の不足とみなされてしまうこともあった」といい、前回から、コンクールではどちらを歌ってもいいことにした。今年1月24日に開かれた第11回コンクール下社の部では、エントリーした会員20人のうち、岡谷節で臨んだ4人を含む男女6人が優秀賞を受賞。継承への意を強くし、「岡谷での小宮祭などでは、岡谷流の木やりも歌っていけるようしっかり精進したい」と意欲を高める。

節回しを譜面にする作業は、昨年9月に会員となった保育士の山田千夏さん(31)が担当する。山田さんは「難しい作業ですが、古里の節回しを残す役目に携わることができて光栄。精いっぱい頑張ります」と抱負を語る。

練習をけん引する武井会長(63)、前会長の浜永俊さん(67)は「岡谷節を次代に残すために全員でしっかりと覚えていく」。同時に「コンクールも終わり、今度はいよいよ本番。氏子の力を引き出し、息の合ったきれいな曳行に奉仕できるよう、会員全員で力を尽くしたいです」と大祭を見つめている。

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御柱の曳(ひ)き綱を作る綱打ち、メドデコ用の木の伐採、木やりの練習…諏訪大社御柱祭まで1カ月余りと迫り、各地区では祭りに向けた準備が加速している。少子高齢化や人口減少時代を迎える中、伝統をどうやって継承していくか。次代へ「つなぐ」人たちを訪ねる。

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