2020年12月10日付

LINEで送る
Pocket

独特の宇宙観に基づいた文化活動でも知られる音楽家の長谷川時夫さんに「宇宙の森へようこそ」(地湧社)と題した本がある。地球は一個の石である-。序章の一文が印象深い。あらゆる物質の根源として、石は存在していると▼自然の猛威に対して、原初の人類はその力を生む何らかの存在を意識し、石をその象徴とした。〈石は人類にとって、神々を象徴した最初の物質だった〉と長谷川さんは言う。〈地球はひとつの石であり、星たちは石である。宇宙は石でできている〉と書いている▼石には地球や宇宙の来歴も刻印されているらしい。小惑星「りゅうぐう」の岩石採取などの任務を成し遂げた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」が6年50億キロの旅を終えて帰還し、小惑星の砂が入ったとみられるカプセルが無事届けられた▼小惑星は小さなちりや岩石が集ってできたと考えられている。JAXAの特設サイトを見ると、直径が約900メートルのりゅうぐうは炭素や水(氷)を持つ小惑星で、持ち帰った岩石を調べることで、生命の起源や太陽系の成り立ちなどの謎に迫ることができるという▼りゅうぐうからの贈り物の”玉手箱”の中身が気になる。その石には、どんな物語が書き込まれているだろう。大気圏に突入して燃え、流れ星となって消えた先代とは異なり、はやぶさ2は次の目的地へ向かうという。心躍る旅の続きを。

おすすめ情報

PAGE TOP