「工女宝来屋と野麦街道」 松本市歴史の里

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宝来屋で開催中の「工女宝来屋と野麦街道」企画展=松本市歴史の里

宝来屋で開催中の「工女宝来屋と野麦街道」企画展=松本市歴史の里

松本市立博物館分館の松本市歴史の里で、「工女宝来屋と野麦街道」の企画展が9月11日まで開かれている。諏訪地方の製糸工場で働く工女たちが、野麦峠を越えて故郷の飛騨地方に帰る際に宿泊した宝来屋に残る「宿泊賄券」や「宿帳」など貴重な資料を多数展示している。

宝来屋は野麦峠ふもとの同市奈川地区川浦にあり、江戸時代の終わりから大正時代まで営業した。明治10年以降は野麦峠を越える工女の定宿となり、「工女宿」と呼ばれるようになった。

展示してある「宿帳」には工女たちの出身地や目的地、年齢などが詳細に記されている。最大で86人が宿泊した記録も残っており、14歳から20歳代の工女たちが集団で頻繁に野麦街道を往来していた当時の様子がうかがえる。

「宿泊賄券」は製糸工場から支給された紙札で、この券で工女たちは無料で宿泊することができた。展示してあるのは「合資岡谷製糸会社」が発行した同賄券で、「大変貴重な資料」(松本歴史の里)という。

「あゝ野麦峠」の著者で知られる作家の山本茂美が執筆取材のため、1962~65年に訪れた当時の宝来屋と野麦峠の写真もパネルにして紹介したほか、人々が荷物を運んだ生活道具なども多数展示している。

歴史の里の千賀康孝学芸員は「野麦街道は工女だけでなく、古くから人や物が行き交う生活に根ざした物流の道でもありました。展示品を通して街道を歩いた人々の思いを感じ取ってもらえれば」と企画展の意図を話した。

展示品は、松本市が1983年に宝来屋を歴史の里の敷地内に全面移築した内部で公開しており、いろりのある部屋で故郷へ帰る工女たちがおしゃべりを楽しんだ往時の雰囲気を堪能できる。

月曜休館。開館時間は午前9時~午後5時。観覧料は大人400円、中学生以下無料。

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