染物工場文化後世に 両角さん明治の建物改築

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染物工場や染物店の経営に不可欠だった道具を整理する両角さん

諏訪市元町、清水、赤羽根一帯に集積していた染物工場の文化を後世に伝えようと、かつて赤羽根で「紫屋染工場」を営んでいた両角忠幸さん(68)=南箕輪村北殿=が、元工場兼店舗だった1876(明治9)年築の建物を染物博物館やホールなどの文化複合施設に改築する工事を進めている。歴史が詰まった上諏訪エリアでまち歩きを楽しむ人の目的地の一つになれば―と願いを込め、今年春から夏ごろのオープンを目指し、資料の整理などに取り組んでいる。

建物は両角さんの先祖の金蔵さんが建てた。曽祖父の金太さんが1899(明治32)年に茅野市玉川の染物屋からのれん分けを受けて「紫屋染工場」を設立。絹織物の染めを中心に事業を展開した。忠幸さんは金太さんから数えて4代目で、1960年代(昭和40年ごろ)まで経営を続けた。工場閉鎖後は、それまで使っていた染め工程で必要な道具や色や柄の見本といった営業ツール、台帳などを旧工場や旧店舗スペースで保管してきた。

文化施設の構想は以前からあったが、昨年の新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛を機に家財を整理していたところ、染めの工程で使う型紙、仕上がり後の柄や色を見やすくまとめた見本帳、色帳など創業以来受け継いできた古道具の数々に改めて価値を感じた。まち歩きや地域に埋もれた歴史探訪に興味を持つ知人の建築家に相談したところ、両角さんの価値観を共有できたことから、構想が一気に進んだ。

現在の計画では、同複合施設は木造平屋建てで床面積は約90平方メートル。染物博物館には所蔵する数々の道具を資料として展示するほか、資料室も用意。ホールは演奏スペースの板の間を含め、約45平方メートルで20人ほどの観客が入れる。ステージ奥はガラス面で創業前から大切に育てられてきたクロマツが見られる。両角さんは邦楽奏者でもある。音楽発表の場や製作体験会、セミナーなどの会場として愛好者らの利用を想定している。

このほかに住民が気軽に集まれるスペース「まちの縁側」も設ける。

両角さんは「上諏訪駅から本町、清水町と歩き、由緒ある神社仏閣や酒蔵、古道具店などをぶらり歩ける人の流れができると面白いし、そこに貢献もしたい。駐車場も用意して地域にとって役立つ場所にしたい」と思いを巡らしている。

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