2021年1月14日付

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全力でいまを生きる。内心で理想に描きながらも、いざ実践となると本当に難しい。コロナ禍で外出自粛のムードが高まった年末年始。自宅のテレビ画面の向こうで、球技や駅伝の全国大会に挑んだ学生選手たち、支えた人たちが、あるべき姿勢を教えてくれた▼今冬のスポーツ大会では、会場応援を部員や家族に限定するなど感染対策を徹底。途中で無観客に切り替える競技もあった。頑張ってきた選手に集大成の場を―と予防態勢を整え、運営規定を変更し難題に立ち向かった関係者の献身に頭が下がる▼選手たちは青春のすべてを懸けてボールを追い、たすきをつなぎ、試合後は真っ先に支えてくれた人への感謝を口にした。完全燃焼の先には、勝敗や優劣を超えた尊い精神がある。一つの球技に打ち込んだ自らの若き日を回想し、心地よい涙腺の緩みに身を任せた▼歌舞伎役者の十代目松本幸四郎さんが、正月の取材に「今日、舞台(公演)が打ち切りになるかもしれない。だからいま精いっぱい演じるんです」と答えていた。たゆまずに生きる求道者の言葉は、スポーツのみならず各分野で努力を尽くす人たちの心に通じるはずだ▼全力でいまを生きた経験は、すげなく消え去ることはない。明日へつながり苦境を生きる糧となる。巣ごもりの年末年始に望外の感動と教訓をもらった。さまざまな大会にかかわった人たちへ、最大級の賛辞を贈りたい。

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