茅野AIタクシー伸び悩み スマホにハードル

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実証運行中の乗り合いタクシーを利用し、目的地の諏訪中央病院で降りる乗客

「行きたい時に行きたい場所へ行ける」を売りに茅野市がAI(人工知能)を活用した新地域公共交通システム「乗り合いオンデマンドタクシー」の実証運行を始めて1カ月半が経過した。利用者数は伸び悩み、普及に苦戦している状況だ。安価で目的地に早く到着でき「とても便利」との意見がある一方、予約で用いるスマートフォンの扱いに慣れない高齢者からは「使い方が難しい」との声が聞かれる。乗り合いタクシーの課題を探った。

◆「すごく助かる」

今月中旬の平日午前。同市豊平の自宅近くから利用する女性(65)に同乗させてもらった。目的地は玉川の諏訪中央病院。高齢者なので自宅に直接送迎する「ドアツードア」も選べるが「悪いと思って」と使わず、予約アプリの地図に表示された幹線道路沿いまで2分ほど歩いて、迎えに来た車に乗った。

女性はこれまで同病院に行くにはバス2本を乗り継ぐ必要があり、「乗り合いタクシーはすごく助かる」。スーパーへの買い物も含め5回ほど乗った。アプリを使った予約も利用するうちに慣れてきたという。

タクシー運転手の横にあるスマートフォン。人工知能が選んだルートをカーナビのように音声で伝える

◆登録に一苦労

このシステムは専用アプリをダウンロードし、登録してから予約する。ちの地区在住の70代の女性はパソコン教室の講師から教わって登録した。パスワードをはじめ、暦から探す生年月日、料金支払い方法などの初期設定が必要。パスワードなどの入力が一苦労だったといい、「私一人では登録できないと思う」と話した。

運行車両は4台。市地域戦略課によると、20日までの利用者数は753人で1日平均は18人程度。市が最終的な目標に掲げる1日108人を大きく下回り、「現状は厳しい」と受け止める。利用を見込む年配者がスマホに慣れない人が少なくないことに加え、コロナ禍で外出自粛している点も挙げる。

◆あと4カ月余

市は実証運行開始後、同病院に「サポートデスク」を設けて登録の手伝いをするなど利用者の掘り起こしを図る。実証運行はあと4カ月余。「一度に大勢を集めた説明会は難しい。少人数対象の講習会を開くなど地道に取り組むしかない」とする。

公共交通のサービスを必要としている人にどう届けるのか―。豊平地区では住民有志が独自に高齢者らの外出支援をする仕組みを検討してきた。同地区福祉推進連絡会の小尾定良会長(67)は「車いすの人などこのシステムを使えない人はどうしても出てくる。市には(新システムとは別に)福祉事業として外出支援を補完する仕組みをつくってほしい」と指摘した。

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