2021年1月27日付

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高遠藩主だった保科正之(1611~1672年)の生涯をまとめた漫画冊子が、今年も伊那市内の小学5年生に届けられた。本紙上伊那版の記事によれば、郷土の偉人を知ってもらおうと伊那市観光協会が毎年贈っているもので、11年目になる▼正之は2代将軍徳川秀忠の隠し子として保科家の養子となり、異母兄の3代家光に引き立てられ、福島の会津藩主や4代家綱の後見役を務めた。冊子には民心に寄り添う政治で幕府や藩を率いた正之の功績が描かれている。作画は長野日報の4こま漫画「オジやん君」でおなじみの橋爪まんぷさんである▼著者も中学生だった30余年前、みなもと太郎さんの歴史ギャグ漫画「風雲児たち」で正之を知った。明暦の大火(57年)に直面した正之が焼失した天守閣を再建せず、被災者救済や防火都市建設を優先する姿に感動を覚えたものだ▼正之は軍事力や権威の象徴であった天守閣の焼失に戦のない世の中を見いだし、平和と安定の礎とした。今も皇居東御苑には天守台が残るのみである。みなもとさんは〈江戸時代にほのかな明るさを感じる時、そのルーツをたどると保科正之の人間性にたどり着いていることがたびたびある〉と記した▼不遇を乗り越え、権力を手にしておごらず、人々を思いやる政治を貫いた正之。名君はコロナ禍にどう対処するだろうか。子どもだけではなく、為政者にも考えてほしい。

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