中アのライチョウ復活へ 動物園で増殖計画

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動物園で人の手により増やしたライチョウを中央アルプスに運んで生息数を増やす-。中アで生息地の「復活作戦」を進める環境省は今年から、中アでの繁殖で新たな家族が誕生すれば、その一部を茶臼山動物園(長野市)など二つの動物園に移送して増殖させる。増えたライチョウを来年以降に中アに戻す計画で、絶滅危機の緩和を目指した初の試みになる。計画は19日に開かれた同省の保護増殖検討会で決まった。

同省信越自然環境事務所(同市)によると、ひなは天敵に襲われやすく、雨風にも弱いため、生後1カ月で半数以上が死んでしまう。このため、動物園で人の手によって保護して安定期に数を増やす。ひなは1年後には繁殖できるようになるため、来年には増えた個体を中アへ運ぶことが可能となる。

ただ、計画の実行には中アのライチョウの多くが生き残り、繁殖に成功することが条件だ。今年の繁殖で誕生した家族のうち、最低3家族を中アに残し、2家族を動物園に移送予定。少数の誕生にとどまった場合は1家族のみの移送か、来年以降に計画を繰り越すことにしている。

国内では七つの動物園で計55羽を飼育している。動物園でふ化した個体を基に増やしていったため、野生で生きるのに必要な特殊な腸内細菌や寄生虫への耐性がなく、放鳥はできない。野生のひなは母鳥の盲腸糞を食べることで耐性などを引き継ぐため、中アの家族を改めて動物園に入れることで計画が可能となった。

復活作戦の指揮を執る中村浩志・信州大名誉教授は「ハードルが高い挑戦で(復活作戦の)正念場となる。成功すれば中央アルプスでの復活や、他の山で絶滅しそうになった際の保全技術の確立にもつながる」と話した。

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