2021年2月21日付

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スヌーピーの漫画「ピーナッツ」に出てくるライナス君は、お気に入りの毛布が手放せない。何かに執着することで安心感を得る幼児期のこうした現象は「ライナスの毛布(安心毛布)」と呼ばれる。不安を払う「お守り」のようなもの▼「日本のセーフティー・ブランケット(安心毛布)」はマスクである-。米有力紙ロサンゼルス・タイムズにこんな記事が掲載されたのは東日本大震災後のこと。原発事故の内部被ばく防止対策として、マスクの新たな着用習慣が出現したことを伝えていたという▼「日本人はなぜマスクを着けるのか」との疑問を出発点に「マスクと日本人」(秀明出版会)を書いた英国在住の社会学者堀井光俊さんが、日本人のマスク姿を奇異な目で眺めている欧米の視点を本の中で紹介している。マスクは安心毛布の報道もその一例である▼もっとも、日本のマスク史に欠かせないのはインフルエンザ予防と花粉症対策だが、精神的安定を取り戻すための「セーフティー・ブランケット」という表現は的を射ている、と堀井さんは指摘している。コロナ禍でマスクに対する世界の認識も変わっただろうか▼マスクの素材や着用の仕方をめぐって軋轢が生じるのも不安の裏返しであろう。店内に並んだマスクを見ては品不足に右往左往した1年前を思い出す筆者は、安心の”ライナスの毛布”を求めて、ああ、またも新商品に手が伸びる。

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