高遠藩郷代官清水家の貴重文書 整理進む

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清水家から寄贈予定の古文書など。伊那市高遠町歴史博物館が整理を進めている

伊那市高遠町歴史博物館は、高遠藩の郷代官を務めた清水丹左衛門で知られる清水家(高遠町東高遠)の蔵で見つかり、同館に寄贈予定の古文書や蔵書の整理を進めている。藩政や藩領内の村で起きた出来事が分かる貴重な文書が多数あり、上伊那誌と高遠町誌の編さん時に資料提供されたこともある。全て合わせると数千点に上る。

同館学芸員の福澤浩之さんによると、郷代官は複数の村が合わさった「郷」を束ねる役人という。寄贈予定の品から、農民が農業以外の職に就くことを申請する郷代官宛ての書状が発見され、「百姓が農業以外の職で稼ぐ素地が、この時代に既に完成していたことが分かる」と福澤さん。

戊辰戦争に出兵した丹左衛門の息子・雅太が、会津に向かう道中で父親宛てに書いた手紙も見つかった。福澤さんは大きな発見として「伝達目的の書簡ではなく、家族に宛てた手紙がそのまま残っていた点、帰郷後に作成した戦いの記録ではなく、戦いの合間に直接のやりとりがあったことが分かった点」を挙げ、資料の価値を示す。

明治時代以降、教員を輩出した清水家は古文書のほかに蔵書100冊以上を所蔵。1913年に起き、小説「聖職の碑」の題材となった中箕輪尋常高等小学校(現箕輪中部小学校・箕輪中学校)の中央アルプス駒ケ岳での集団遭難で亡くなった赤羽長重校長から譲り受けた書物もある。本に赤羽校長の印鑑が残る。

清水家の家主は現在、県外に在住。家の管理が難しいため空き家情報登録制度に登録し、2019年2月に所蔵品の寄贈を希望した。

同館は寄贈の申し出を受けて同9月に整理を始めた。福澤さんが一人で作業を進めていたが、20年10月からは同館と市高遠町図書館の古文書講座受講生が協力。市高遠町総合福祉センターやますそに集まり、一つ一つを軽く読み解き、仮の整理番号を付けて目録を作る作業をしている。

整理終了後は同博物館と同図書館に所蔵予定。福澤さんは「状態の良い品が多い。調べ物をする人に資料として提供したい」と話している。

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