2021年2月28日付

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昭和の頃に住んだ家の間取りから思い出を語る会に参加した。都内の博物館がオンラインで開いた。幼少期の記憶をたぐり、喜怒哀楽の全てが詰まった暮らし、そこで子育てに懸命だった親の姿を思い出して胸が詰まった▼ここで過ごした子どももいつかそんな気持ちになるだろうか。富士見町の小学生が放課後を過ごすあそび場が3月で終了する。13年間、運営を支えてきた地域のお母さんたち、利用する子どもとともに取り巻く状況が変わった。始まりは、外遊びが減った現代っ子に自然相手に全力で遊ぶ体験をさせたい―との思いだったそうだ▼遊びの舞台は林の中。枝にロープを掛けてブランコに興じたり、たき火でおやつを作ったりして自由に過ごす。自作のお汁粉を囲んでいると「お代わり!」の声が。すかさず誰かが「小さい子から順番ね」と提案する。お母さんたちはそんな育ちに触れるたび、わが子のことのように喜んで月日を重ねた▼児童虐待が社会問題となり、昨今の親はわが子を叱るにも気兼ねをし、叱る自分に罪悪感を感じてしまうそうだ。そんな気苦労を負いながらも全力で向き合ってくれた姿を子どもはきっと忘れない▼かつてあそび場で過ごした子どもも大学生。お母さんたちは「この子たちがいつかまた、あそび場を開いてくれるかもしれない」と希望を託す。お母さんたちが子どもの心にまき続ける種の今後が楽しみだ。

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