2021年3月5日付

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あっという間だった―。岩手県陸前高田市で被災し、駒ケ根市の工場で働く青年は、あの時からの日々をこう振り返ってくれた。目の前の生活で精いっぱいだった―。今になり鮮明によみがえる記憶と向き合いながら、故郷に働く場を生むため技術の習得に励んでいる▼避難所で出会ったお年寄りから住み慣れた土地で暮らすことの大切さを教わり、「命を守るために何をすべきか」と後輩に伝える茅野市の看護師。伊那市東部中学校の生徒会は仙台市高砂中学校との交流を記録するパンフレット作りに取り組み、災害時の対応を学ぶゲームも導入した。報道カメラマンが記録のために撮り続けた写真は、1万枚に及んだ▼東日本大震災からまもなく10年。本紙でも節目に合わせた連載企画を掲載している。被災地と関わり、さまざまな形で今でもつながり続けている人たちの言葉は重く、示唆に富む▼一方で、年月の経過とともに、関心を長く、広く共有し続ける難しさも伝わってくる。いかに支援を続け、寄り添い続けていくか。災害に限らない課題でもある▼ともに仙台市の高校出身のお笑いコンビ・サンドイッチマンは、義援金基金を創設したり、頻繁に地元の東北に足を運んだりして支援活動を続ける。全国紙の取材にこう答えていた。ずっと思ってくれなくてもいいんです。それを風化って言わない気がする。要所要所で思い出してくれればいい―。

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