2021年3月10日

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信徒ではないが、カトリック教会最高位の聖職者である代々ローマ教皇の、あの朗らかな表情に親しみを感じている。以前バチカン市国の日曜礼拝で教会の窓から手を振る当時の教皇ヨハネ・パウロ2世を拝見した。実際の表情も優しかった▼翌年、アフリカ北部のスーダンに滞在中、ヨハネ教皇が同国の首都ハルツームの空港に降り立った。国内ではイスラム教徒とキリスト教徒との対立があり、和平に向けた訪問だった▼普段は、ほぼイスラム教徒が占める首都に教皇を歓迎する南部のキリスト教徒が訪れた。大通りでは、Tシャツとスカート姿で車の荷台に乗った女性教徒たちが、陽気に歌いながら通過する。だが、それを見たイスラム教徒の女性がスカート姿の女性を指さし、険しい顔つきで何か叫んだ▼イスラム教には女性美(髪や肌)を親族以外の男性に見せないという決まりがあり、スーダンはそれを守る傾向にある。叫んだ女性は素肌の露出を指摘したと思われる。その光景に、価値観の違う他者を認める難しさを改めて感じた。ちなみに実際に接したイスラム教徒の多くが寛容だった▼今月、現在のフランシスコ教皇がイラクを訪れ、イスラム教シーア派の最高権威シスターニ師と会った。外報によるとシスターニ師は国際情勢に触れ「理性と知恵の優先」を唱え、教皇は「共に平和への道を」と述べたという。外交姿勢の継続を願いたい。

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