2021年3月18日付

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10年前に東京電力福島第1原発事故が起きた後、不思議でならなかった。日本は「脱原発」へかじを切るとばかり思っていたが、そうはならなかったからだ▼事故後、「想定外」とよく耳にした。講じた安全対策の想定をはるかに超す震災だったため、事態を回避できなかったとする主張。しかし裏を返せば、原発は絶対に安全と言い切ることはできないと認めているとの見方もできる。現に想定外の東日本大震災が起きた今、想定外は起こり得ることが証明されたからだ▼脱炭素化が叫ばれる中、原発を続けるのか、やめるのか、われわれははっきりした方向を示す必要があるのではないだろうか。今年は衆院選がある。各党の公約にエネルギー政策についての方針が盛り込まれ、有権者が意思を表示する機会になることを期待したい▼ただ、どちらも険しい道だろう。原発は事故を起こせば計り知れない影響を及ぼすという覚悟を持たなければならない。一方、事故前に国内発電量の約3割を占めていた原発に代わる再生可能エネルギーなどの推進には、社会の大変革が不可欠になる▼小泉純一郎元首相が1日、脱原発の立場から菅直人元首相とともに東京の日本外国特派員協会で開いた記者会見。「ドイツは福島の事故を見てゼロに踏み切った。日本は、あの事故を目の当たりにしながら、まだやろうとしている。不思議ですね」と述べていた。印象深い。

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