2021年3月19日付

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職場の異動に伴い、3年ぶりに自宅通勤を始めた。駒ケ根支局まで車で約30分の道のり。飯島町の広域農道沿いから見える雄大な中央アルプスの山並みに今さらながら感動を覚えている▼以前は毎日当たり前に通っていた道。ぜいたくと思えるほどの景観であっても気に留めることはなかった。地域振興を考える上で「地元住民は地元の魅力に気付いていない」といった指摘をよく耳にする。「当たり前」とは人や場所、環境によって変化する曖昧なものなのだろう▼新型コロナウイルスという未曽有の事態に振り回され、世の中は目まぐるしく変化している。私たちが「当たり前」と判断する基準や価値観もその例に漏れない。以前はマスクを苦手としていた私が、今ではマスクなしの口元を寂しいとさえ感じている。ささいなことだが私にとっては大きな変化といえる▼「異常も、日々続くと、正常になる」。作曲家の坂本龍一さんが1983年にリリースしたサウンドトラック「戦場のメリークリスマス」に使用された広告コピーだ。戦時下の狂気を表現したコピーだと考えていたが、現代にも通じる示唆に富んだ言葉だ▼地球温暖化や格差社会の問題など、本来「異常」と捉えるべき課題が「当たり前」になってはいないか。ふるさとの山のような掛け替えのない存在を見失わないためにも、世の中に惑わされず自分で考えることを大切にしたい。

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