奥村まことの生涯とその設計 村上さんが発刊

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発刊した「奥村まことの生涯とその設計」を手にする著者の村上藍さん。表裏の表紙スケッチは奥村さんの作品

茅野市出身の村上藍さん(27)=東京都板橋区=は、戦後の女性建築家草創期に活躍した奥村まことさん(1930~2016年)の一生を明らかにした、「奥村まことの生涯とその設計」を発刊した。膨大な資料や親族、親しかった人たちへのインタビューなどを通し、設計活動や人となりを多角的に顕彰している。

村上さんは以前から古い建造物に関心があり、松本深志高校在学中に将来の進路を模索する過程で、建築家安藤忠雄の著書に出合った。建築への興味が高まり、その分野への進学を決め、日本女子大家政学部住居学科に入学。卒業後は東京芸大大学院美術研究科建築専攻修士課程を修了した。

奥村さんに興味をもったのは「東京芸大建築科に初めて入学した女子学生」だったことや、保管されていた資料整理を手伝うことがきっかけとなった。約5000枚の設計図面、3000枚の製本図面、施主とのやりとりをまとめたファイルがあった。瓦や茶室など趣味で研究していた記録や、何かにつけて作詞した替え歌、雑草をおいしく食べる料理レシピなど次々に生涯の痕跡を発掘した。

先の見えない資料の多さに圧倒されたが、気づいた時は「まことさん研究が始まっていた」。取材を重ねると「いかに多くの人から愛され、多くの人を愛したかがなぞられていた」という。空気集熱式ソーラーシステムの考案者で建築家の奥村昭雄さんの妻としても、公私にわたって支えた様子が分かった。

こうした成果は修士論文にまとめ、本書は論文に少し手を入れて出版。「生涯」「設計」「暮らし方と設計」の3章で構成している。

村上さんは「まことさんの長女吉田まきさんをはじめ多くの方々に快く協力をいただき深く感謝している」とし、「仕事に人となりに興味が尽きないまことさんと出会えたことは、私の大きな財産になった」と話している。

A5判、158ページ。問い合わせは村上さん(電話050・6878・5377)へ。

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