2021年4月2日付

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全能の神ゼウスをあがめる聖なる祭典として、紀元前776年から11世紀以上にわたってギリシャのオリンピアで行われたとされる古代五輪。大会の間、一切戦いは行われなかったという。各地に休戦を告げたのが聖火リレーの発祥。「平和の使者」と呼ばれる所以だ▼現地で東京五輪の採火式に参加し、ギリシャ国内の第2走者を務めたアテネ五輪女子マラソン金メダリストの野口みずきさんは「五輪発祥の地で、平和への願いやみんなで競技を楽しもうという古代ギリシャ人の願いをすごく感じることができた」と話した▼近代五輪で聖火リレーを復活させたのは、皮肉にもあのヒトラー。1936年のベルリン大会だった。オリンピアからベルリンまでの約3000キロを、3000人の走者がつないだ。一大イベントは熱狂に包まれたが、政権にはナチスドイツの優位性を示す狙いがあったとされる▼時に政治的、商業的な利用が批判される五輪。「復興五輪」を掲げる東京五輪も、延期の要因となったコロナ禍も絡み、開催への賛否がある。アジアや中東など政情が不安定な地域が依然としてある中、開く際は五輪の精神を改めて発信する機会にしてほしい▼きょう、東京五輪の聖火リレーが伊那市や諏訪市で行われる。感染防止に努め、世界中の選手や人々のさまざまな思いがぎっしりと詰まった聖火を東京へ届ける平和の使者たちの姿を見届けたい。

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