映画「砕け散るところをー」 監督インタビュー

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諏訪地方で全編の約8割のシーンが撮影された映画「砕け散るところを見せてあげる」(イオンエンターテイメント配給)の全国公開(9日)を前に、同作品を手掛けたSABU監督(56)が長野日報の取材にオンラインで応じた。「諏訪の皆さんに支えられ、諏訪の自然に助けられた作品。私にとっての自信作だ。諏訪の皆さんには感謝しかない」と語った。

■全編の8割を諏訪地方で撮影

同作は作家竹宮ゆゆこさんの小説が原作。若手人気俳優の中川大志さん、石井杏奈さんのダブル主演が話題を呼んでいる。清原果耶さん、北村匠海さん、矢田亜希子さん、堤真一さんら豪華俳優陣が脇を固める。

主人公で正義感が強い高校3年の濱田清澄(中川大志さん)が「学年一の嫌われ者」といじめを受ける高校1年の蔵本玻璃(石井杏奈さん)を助けたことで2人の距離は縮まり、玻璃は再び輝きを取り戻す。だが、このままハッピーエンドと一筋縄にいかないのが同作品の奥深さ。ある人物の登場をきっかけに心温まるラブストーリーは崩壊へと向かう。再び心を閉ざした玻璃がある夜、清澄を訪ね、鬼気迫る表情で告げる。「危険が迫っています。逃げてください」―。

■お気に入りは「みつまたはし」

2人が通う高校のロケーション撮影地(ロケ地)は諏訪市の諏訪清陵高校。SABU監督が「立地や奥行きのある校舎が非常に面白い」と語る校舎は、物語の中で何度も登場する。同校の玄関から眼下に広がる諏訪市の街並みも作品の中で印象深く描かれている。「原作を読んで感じた街のイメージと諏訪の街の雰囲気がぴったりと重なった」という。

「お気に入りのロケ地」に挙げたのは清澄と玻璃が登校時に待ち合わせる橋「みつまたはし」。橋は諏訪市城南に実在する三ツ又橋。劇中では、玻璃を待つ清澄が橋のたもとのガードレールに寄りかかるシーンで何度も登場する。初々しい2人は晴れの日も雨の日もこの橋で会い、一緒に高校に向かう。

SABU監督はこの橋で雨の日に待ち合わせるシーンをこだわりの場面に挙げた。当初は雨降りだった場合、撮影は中止する予定だったが、周囲の山々に霧がかかる景色を見て「こんな場面を撮れる機会はなかなかない」と直感。結果的に「いい絵が撮れた。2人が待ち合わせて登校するのは晴れの日もあれば雨の日もあるのがリアルだもの」と笑みを浮かべた。

■「諏訪シネマズ」第3号に認定

撮影は2018年9月28日から10月22日にかけて行われた。同年10月には台風19号が日本列島を通過し、諏訪地方にも被害が出た。この時、有志の地元ボランティアは撮影が順調に進むよう倒木の除去などに携わった。SABU監督は地元の協力に感謝した上で、映画の中で描く川の増水のシーンを現実に目の当たりにした経験は「ある意味で映画づくりに影響した。濁流のシーンはどう描いたらいいのかは悩みの一つでもあった」と振り返った。

諏訪地方観光連盟は3月29日、同映画について地域住民が思いを寄せ、時代を超えて多くの人に愛される名画になり得るとして「諏訪シネマズ」の第3号に認定した。「認定していただき、大変ありがたい」と喜ぶ同監督は「次回以降もぜひ諏訪で、長野で映画を撮りたいね」と意欲を見せた。

映画は9日に全国のイオンシネマなどで公開初日を迎える。県内では4劇場。諏訪地方では岡谷市中央町の映画館「岡谷スカラ座」で上映される。

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