2021年4月8日付

LINEで送る
Pocket

東京五輪の聖火隊の隊列にスポンサー企業が参加していることをご存じだろうか。2日に聖火が通過した諏訪市で見た▼聖火を模した巨大な装飾やモニターを付けた”露払い”の大型車が進み、屋上のDJが英語を交えてランナーの登場を告げる。各社の社員とおぼしい人たちが現れ、ダンスを披露したり、企業名の入った炭酸飲料やグッズを無料で配ったりしながら、満面の笑みで通り過ぎた。久しぶりに味わう祭り気分に心が躍る一方、浮かれる自分に強烈な違和感を覚えた▼これはまさに 自転車レース「ツール・ド・フランス」のキャラバン隊だと、ピレネー山脈でレースを見た知人が教えてくれた。数百台に及ぶスポンサー企業の車列が、選手が来る前のコースを走り、大量のグッズをまいて自社を宣伝する。知人は「数時間も待たされる観客を楽しませる心意気と、ツールが観客と一体化している至福感があった」と述懐する▼ただ商業的な要素が強い自転車レースと五輪は違う。主役は聖火であり、それを運ぶランナーであり、躍動する選手だ。さらに震災復興や新型コロナウイルスと闘う人々だと思う▼県内最終走者を務めた茅野市出身の小平奈緒選手は、ツイッターに「色んな人の気持ちを想像したうえで、私なりのカタチで走りたい」と投稿し、マスク姿で走った。彼女の所属先は病院である。今、誰を応援すべきか。教えられた気がする。

おすすめ情報

PAGE TOP