2021年4月9日付

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「後方録画中」。ドライブレコーダー(通称ドラレコ)を設置して、こんなプレートを掲げる車両が増えた。周りへ安全啓発する意図は分かるけれど、あなたに作為的な視線を向けています―と告げられたようで落ち着かない。何より、社会が問うべき本質は別のところにある▼ドラレコには、交通事故などの証拠映像を記録する機能があり、あおり運転の抑止効果も期待できる。年々普及が進み、国土交通省の昨年度調査では対象車両1000台の搭載率が約54%にも上った▼南信地域で先月、心底うんざりする場面に遭遇した。「ドラレコ設置」をうたう車両が、蛇行運転をして前方の車両を激しく追い込んでいた。「録画して見てるぞ!」とステッカーを張って威圧する車両は、大音量の音楽を鳴らして他人に大迷惑をかけていた。本末転倒も甚だしい▼ドラレコの懸念材料は、ドライバー全般に安心感をもたらす一方で、個々の意識低下を招きかねない点だろう。利便性の高い機器であっても、設置した本人の安全運転やマナーまで保証するものではないことを再認識しておくべきだ▼春の全国交通安全運動が15日まで行われている。ドライバーに求められるのは、自らの意識向上。後方の車両をけん制するよりも、前方の車間距離を十分にとり、横断歩道で待つ歩行者に道を譲る優しさを体現したい。一人の心のありようが、安全な社会の本質を築く。

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